月城課題:PORNOGRAFFITTI「カルマの坂」とエド

 

 

彼が唄う詩シリーズ 1 ver.ED
 想いを込めて


旅の途中立ち寄った小さな町で俺はその詩を聴いた。

独り、ただぶらぶらとしていた時だった。噴水の前、一人の吟遊詩人がギターを掻いて歌っていた。

一度、たった一度聴いただけだったがメロディーも歌詞も覚えてしまった。何かが心に引っ掛かって。
タイトルを問うと吟遊詩人は目をつむり「カルマの坂」とだけ言った。


−−−――――ある時代。ある場所。乱れた世の片隅。少年は生きる為盗みを覚えていた。

醜く太った大人達等には決して追い付けはしない風の様に今空腹を満たすのが全て。是も非も越えただ走る。

清らかなその心は汚れもせず罪を重ねる。天国も、あぁ地獄さえもここよりマシなら喜んで行こう。

「人は皆平等などと何処の詐欺(ペテン)師の台詞だか知らないけど」

パンを抱いて逃げる途中、すれ違う行列の中の美しい少女に目を奪われ立ち尽くす。

遠い街から売られて来たのだろう。俯いてるその瞳には涙が。金持ちの家を見届けた後、叫びながらただ走る。

清らかなその身体に汚れた手が触れているのか。少年に、あぁ力は無く、少女には思想を与えられず。

「神様がいるとしたら何故僕らだけ愛してくれないのか」

夕暮れを待って剣を盗んだ。重たい剣を引きずる姿は、風と呼ぶには悲し過ぎよう。

カルマの坂を登る。

怒りと憎しみの切っ先をはらい、血で濡らし辿り着いた。少女はもう。壊された魂で微笑んだ。

最後の一降りを少女に。

泣く事も忘れてた。空腹を思い出してた。痛みなら、あぁ少年も、ありのままを確かに感じている。

お話しはここで終わり。ある場所のある時代の物語り。
――――−−−

 

 

何がこんなに引っ掛かるのだろうか。

いつだって保護のない子供に世間は冷たい。平等な扱いなどどの街にも存在しない。

物質の等価交換はあるが気持ちの等価交換は成り立たない。

不確かな神に祈りを捧げる位なら自分の可能性にかける方がはるかにいい。

――――大人の論理を翳しても本当は解っている。

俺は歌の様に、自分の手で少女の魂一つ救えなかった。大切な弟の命すら満足に護れない。

世界を斜めに見れずに未だにひとかけらの理想にしがみつく子供なんだと。

それでも、俺の、俺達の物語は終われない。

たとえこの世界より他に良い場所があったとしても、ここで二人で生きたい。

罪の重みをぶら下げて決して風にはなれないが、望みに向かってひた走る。微かな希望を抱いて。

そして、アルにこの両手で与えるモノが開放という終焉でなく痛みを伴う祝福であるように。


――――歌を唄う。苦しみを抱えた歌に希望と決意を込めて。 歌を唄う。「カルマの坂」を――――


  End

 Song by PORNOGRAFFITTI「カルマの坂」

 

 

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書いた時はこの曲を聴いた事がなくて、詩のイメージだけで書きました。

その後、この曲を持っている事が発覚。多分聞いてから書いてたら、こうならなかったかも。

良かったのか、悪かったのか。

 

頭脳は大人、しかし心は子供。割り切れない事が沢山ある中で、それでも生き抜く。

そんな彼に寄り添う歌であるように。

 

 

これは序章です。あと3作続きます。

 

   緋月悠奈