月城課題:PORNOGRAFFITTI「カルマの坂」とエド
彼が唄う詩シリーズ 2 ver.ROY
それで終わり
雨が窓を濡らす。先程から振り出した雨は止むどころか強まる一方だ。
運悪く定期報告にやってきた鋼の錬金術師――――エドワード・エルリックは窓際で雨空を見上げていた。
ちょうどデスクの斜め右後方、部屋の端に立ち無心に空を見上げている。私の存在など感じていないかの様だ。
私はペンを動かす手を止め、彼をしばらく眺めていた。
彼がどうしてこの執務室にいるかというと、雨に足止めをくらい、まだ宿を取っていないとの事なので宿直室を提供する運びになり、
その準備にここで待機となり今に至るという訳だ。今頃ホークアイ中尉が手続きを済ませているだろう。
再びペンを動かそうかと思い始めた時、微かな歌声が聞こえた。雨空を見上げ、彼が歌っている。私は意外な光景に目を奪われた。
‐‐‐――――少年は生きる為盗みを覚えていた。醜く太った大人達等には決して追い付けはしない風の様に今空腹を満たすのが全て。
是も非も越えただ走る。清らかなその心は汚れもせず罪を重ねる。天国も、あぁ地獄さえもここよりマシなら喜んで行こう。
「人は皆平等などと何処の詐欺師(ペテン師)の台詞だか知らないけど」――――‐‐‐
当て付けかと思ったが違う様だ。私を意識してる感は全くなかった。
‐‐‐――――清らかなその身体に汚れた手が触れているのか。少年に、あぁ力は無く、少女には思想を与えられず。
「神様がいるとしたら何故僕らだけ愛してくれないのか」――――‐‐‐
ここからは横顔しか見えないが、不思議な表情だった。
あれは・・・自嘲だろうか。罪深い己が神の愛など求める事自体が間違いという事だろうか。
‐‐‐――――怒りと憎しみの切っ先をはらい、血で濡らし辿り着いた。少女はもう。壊された魂で微笑んだ。最後の一降りを少女に。
泣く事も忘れてた。空腹を思い出してた。痛みなら、あぁ少年も、ありのままを確かに感じている。
お話しはここで終わり。ある場所のある時代の物語り。――――‐‐‐
歌は終わったようだが、彼はそのまま空を見上げていた。相変わらずの雨。あの日と同じ様な。
少女を、思い出しているのだろうか。それとも、あの日の己を思い出しているのだろうか。
こんな日はその胸の内に悲しみ、痛み、苦しみ、後悔、そして絶望が渦巻くのだろうか。
横顔の表情からはうまく読み取れない。
「・・・鋼の。それで終わりか?」
「・・・あ、聞こえ・・・た?」
はっと振り返り苦笑いをする。私はもう一度繰り返した。
「鋼の。それで、終わりか?」
彼は一瞬眉を寄せそれからすっと目を細め、笑った。
「歌は、な。」
「・・・そうか。」
歌は、ときた。私も笑う。
――――心配の必要はなかったようだ。
End
Song by PORNOGRAFFITTI「カルマの坂」抜粋
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「カルマの坂を歌うエドと誰か」 最初に貰った課題はこうでした。
どうせなら何人か書こうと思い、まずロイで。
ロイは多くを語らないでも通じる様な気がしてます。
ので書きやすいです。ただ人に伝わるかは別問題で・・・一応月城に伝わったから大丈夫かな??
緋月悠奈