月城課題:PORNOGRAFFITTI「カルマの坂」とエド
彼が唄う詩シリーズ 3 ver.AL
猫と歌と本当の気持ち
に〜
喉を擽られた子猫が嬉しそうに鳴いた。
「兄さん、可愛いね!!」
「あぁ。」
気持ちよさそうに喉を鳴らす子猫は、僕らが今日の寝床と決めた宿の子だった。
小さなバスケットの中に6匹、思い思いにくつろいでいる。
中でも今僕に喉を擽られているのが一番人懐っこいようで、僕らがここに入るなりにーにーと鳴いていた。
飼えないならせめて少しだけでも世話がしたいなぁ。子猫を見るといつも思う。
その時だった。
「あら、あなた猫の扱い上手いのね。もしよかったら、この子たちの世話手伝って貰えないかしら?」
宿のお姉さんの申しでは僕にとっては願ってもないモノだった。僕は兄さんを見つめる。
「...いいぜ。この街には少し長くいるつもりだしな。」
「ありがとー、兄さん!!」
むぎゅっと兄さんを抱きしめた。あだだだっと兄さんは呻いてたけど嬉しくてそれどころではなかった。
数日泊まる予定の宿はいつも決まってこうなる。
兄さんはさっき図書館に出掛けたと思ったら大量の本を抱えて帰って来た。
そして僕が少し子猫たちの所に行って帰って来たら...足の踏み場がなくなっていた。本と紙が散乱している。
いつもの事なので気にはしないが、今回は困った。本や資料がつっかえてドアが少ししか開かないのだ。
兄さんと呼んでも集中した兄さんの耳には全く届かない。僕はドアの前に立ち尽くしていた。
ふっと兄さんの動きが止まり、伸びをして、そのまま天井を見つめた。
しばらくそうしてたかと思うと、何かをぶつぶつ呟いた。
よく聞くと意外な事に兄さんは歌っていたのだ。しっかり全ては聞こえないけれど、僕は気になって立ち聞きしてしまった。
‐‐‐――――天国も、あぁ地獄さえもここよりマシなら喜んで行こう。
「人は皆平等などと何処の詐欺師(ペテン師)の台詞だか知らないけど」‐‐‐―――‐‐‐少年に、あぁ力は無く、少女には思想を与えられず。
「神様がいるとしたら何故僕らだけ愛してくれないのか」‐‐‐―――‐‐‐泣く事も忘れてた。空腹を思い出してた。
痛みなら、あぁ少年も、ありのままを確かに感じている。――――‐‐‐
――――僕は聞いてはいけないモノを聞いてしまったのだろうか。
兄さんがどんな気持ちで歌ったのか解らないけど、僕は混乱していた。だって本当は兄さん、僕らの運命を――――
に〜
いつの間に入ったのだろうか。あの人懐っこい子猫が僕の開けた隙間から部屋に入っていた。僕は咄嗟に身を隠した。
「ん?なんだお前、こんなトコ来て。怒られるぞ。」
んな〜
平気と言うように子猫が鳴く。
「おわっなんだ、やめろ。くすぐったい!!」
兄さんを舐めてるのだろうか。僕はさっきの事が気になって一歩も動けずにいた。
「なんだお前、もしかして慰めてるのか?」
に〜
「別に俺は沈んだりしてないぞ。ましてや絶望なんてしてない。
そりゃ後悔は腐る程あるけど、でも立ち止まったりしない。俺達は前進しなきゃいけないんだ。
それにな、あの歌は歌詞こそブルーになりそうだけど、希望と決意がこもった歌なんだぞ。」
んな〜?
「お前には解らないか。ほら、アルのトコ帰れ。」
たしっと紙の上に着地した音がした。
しばらくして子猫が出てくる。僕を見上げ、んな〜と一鳴きすると階段を降りて行った。まるで、よかったねと言わんばかりに。
兄さんはまた歌い出した。僕は立ち尽くす。
ただ今度は穏やかな気持ちで、その歌を聞いていた――――
End
Song by PORNOGRAFFITTI「カルマの坂」抜粋
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第3弾はアルです。
エドがアルがいると分かって子猫に話し掛けたかは・・・秘密です☆
緋月悠奈