彼月城課題:PORNOGRAFFITTI「カルマの坂」とエド
彼が唄う詩シリーズ 4 ver.HAVOC
青空と歌声
窓の外に拡がる空は抜ける様な青で、柔らかな風が吹いていた。
優しい陽射しが降り注ぐ窓際に立ち、少年――――エドワード・エルリックは外を眺めていた。
定期報告にやって来たものの上司が会議中で待ちぼうけをくらっているのだ。
だが陽気のせいだろうか、他の人間がたまたま居ないからだろうか、彼にも俺――――ジャン・ハボックにも珍しい穏やかな時間が流れていた。
せっせとペンを走らせ書類を作成していると。風に乗って微かに歌が聞こえてきた。
俺は顔を上げ窓の方を見た。意外な事に歌声の主は鋼の大将だった。
煙草に火を着けゆっくりと吸う。
普段ここで吸うと恐い上司に拳銃突き付けられるのでやらないが、今日はいいだろう。窓も開いてるし。
窓際の彼を眺め紫煙を吐き出す。
こんな陽気だ、歌も歌いたくなるだろうと彼の声に耳を澄ました。
‐‐‐――――人は皆平等などと何処の詐欺師(ペテン師)の台詞だか知らないけど――――‐‐‐
ん?何だか明るくない歌な気がする。が、俺はそのまま彼の歌を聴き続けた。
‐‐‐――――パンを抱いて逃げる途中、すれ違う行列の中の美しい少女に目を奪われ立ち尽くす。
遠い街から売られて来たのだろう。‐‐‐―――‐‐‐金持ちの家を見届けた後、叫びながらただ走る。
清らかなその身体に汚れた手が触れているのか。‐‐‐―――‐‐‐神様がいるとしたら何故僕らだけ愛してくれないのか――――‐‐‐
煙草の灰が落ちそうになる。慌てて灰皿に煙草を押し付けた。
まだ歌は続いていた。
だが俺はもう聴いていられなかった。彼がどんな気持ちで唄っているのか、その声からは解らない。
こちらに背を向け淡々と唄うその姿は痛々しくて堪らなかった。
はたして彼は泣いているのか笑っているのか。あの青空に何を求めその歌を唄うのか――――
俺は煙草をペンに持ち替えて書きかけの書類に目を落とした。
――――ただ解っている事は、彼は俺の手を求めたりはしないという事だけだった。
End
Song by PORNOGRAFFITTI「カルマの坂」抜粋
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ラストはハボックでした。
彼は比較的普通の人の感覚をしていると思うので、この歌を歌うエドを痛々しく思うんじゃないかな、と。
でもエドの事もよく分かってるので何もしない。というか出来ない。
何となくハボの方が可哀想な感じですよね。ごめん、ハボ。
緋月悠奈