月城課題:夢
その夢の名は――――
うわぁぁぁ!!
俺は大絶叫に目が覚める。
隣の声の主は起き上がりうずくまっていた。
脂汗をびっしょりとかき、肩で荒い呼吸を繰り返す。声をかけるのも憚られる様な状況。
でも解っている、何があったのか。何を見たのか。
「ロイ。」
そっと抱きしめる。いつも彼がしてくれる様に。
ビクッと身体を震わせこちらを見る。驚愕の表情だ。
でもその瞳が「俺」を認識すると、安心するのか全身の力が抜けて表情も崩れる。
泣きそうに、くしゃくしゃに。
俺は肩に顔を埋めさせ、もう一度強く抱きしめる。彼がシャツの背中を掴む。痛いくらいに。
例え背中に爪が刺さろうが何も言わない。ゆっくりと彼の背中を摩ってやるだけだ。
しばらくすると落ち着いて、
「ありがとう、エド。」
そう言って俺を抱きしめながら眠る。
――――これが彼が「夢」から覚めた夜に、俺に出来る事。
ぁぁああ!!
絞り出す様な叫びを目を覚ました。
隣で叫んだ彼は起き上がり胸元を握り締めていた。
脂汗をびっしょりとかき、呼吸も荒く吐き出すだけを繰り返す。
「エド。」
声をかけても反応出来ない様な状況。
でも解っている、何があったのか。何を見たのか。
だからそっと抱きしめる。いつも彼がしてくれる様に。
ビクッと身体を震わせこちらを見る。しばらくは焦点が定まらない。
だがその瞳が「私」を認識すると、安心するのか全身の力が抜けて泣き出した。
しかしそれは泣き方を忘れてしまったかと思わせる程控え目に、堪える様にだった。
私は胸に顔を埋めさせ、もう一度強く抱きしめる。彼が怖ず怖ずとシャツの背中を掴む。だが、痛いくらいに。
例え背中に機械鎧が食い込んでも何も言わない。ゆっくりと彼の背中を摩ってやるだけだ。小さな鳴咽は聞かないフリをして。
しばらくすると落ち着いて、
「ありがとう、ロイ。」
そう言って私の腕の中で眠る。
――――これが彼が「夢」から覚めた夜に、私に出来る事。
――――その夢の名は悪夢。
どんなに言葉を並べても、どんなに身体を繋げても、決して癒える事のない過去の傷。
流された血の数だけ、流した涙の数だけ繰り返される罪悪感の型。
けれどもそれは、生きている証。凄惨な過去を耐え生きている証拠。
目覚めた瞬間、抱きしめてくれる腕が教えてくれる痛みと幸福。
その夢の名は悪夢――――絶望と後悔、戒めと決意、それから愛おしさを思い出す。
その夢の名は――――
End
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
隣に愛しい人がいても、お互いに「あの日」を夢に見る事はあるんじゃないか、と。
そして、それを分かっているから追求するでもなく、包み込む事を選ぶ。
疵を舐め合うわけではなく、癒してくれる存在がいるのは幸せな事なんだと思って欲しかったのでこんな形になりました。
願わくば、痛みは苦痛だけではなくて、大切な事に気付く為のものである事を。
緋月悠奈