ハボロイ好きに15のお題
お題:13. 火種

   
銀色の独占欲


ボンッ


「おわっ!!」
突然、目の前の煙草が燃えた。

俺が火傷しなかったのは反射神経の良さと、発火者のコントールの良さ故だろう。こんな事出来るのは俺の周りには一人しかいない。
「大佐!!何するんすか!!俺もうちょっとで大火傷っすよ!!」
傷害未遂を犯した恋人は鋭い瞳をさらに鋭くさせてこちらを睨んでいた。
「あっあの大佐、聞いてますか?」
この上なく不機嫌。被害者のこちらがたじろいでしまう。


大佐はふいっと顔を反らして立ち上がり、
「いつまでもそんなモノ使うな。」
そう言って部屋を出て行ってしまった。


は?そんなモノ?ってゆーか謝罪は?!弁解とかないんすか?!俺、煙草吸おうとしただけなのに。



数時間後、仕事の用事で外していたデスクに戻ると、封が切られていない俺愛用の煙草と真新しい銀色のライターが置いてあった。
とりあえずライターを開く。キンッと鋭い音がする。重さからすると純銀。

なんでこんな高級品が?

俺はライターをしげしげと眺めた。柄もない銀色のシンプルなライター。何気なく中身をケースから出す。

 

あっ!!

中身には製作会社のロゴやら何やらがいろいろ刻まれているが一つだけ見慣れない文字が目に付いた。
「R」
一文字だけ空いてるスペースに掘ってあった。
成る程。それで「そんなモノ」ね。
そんなモノとはライターの事だったらしい。それは昔の彼女に貰ったモノだった。それを使用する事は現恋人には不満だった様だ。
で、無言のプレゼントね。あの人らしいや。


「失礼しま〜す。」
執務室に顔を出す。中には最愛の捻くれ者が一人でせっせと書類にサインをしていた。また最強の副官に怒られたのだろう。
「大佐。」
声をかけ、こっちを向いたのを確認して小物を投げる。上官にモノを投げるなんて失礼極まりないが、まぁ大丈夫だろう。
大佐は驚きつつも放物線を描いて飛んで来たモノを受け取り、不愉快そうにソレを見る。
「!!」
驚いてこちらを見た。彼の手には「そんなモノ」が握られている。
「お好きな様にどうぞ。俺にはもう必要ないですから。」
そう言って真新しいライターにキスをする。
「後で泣き付いても知らんからな。」
お互いニヤリと笑う。
「今夜、な。」
「はい。」
思い掛けず今夜の約束も取り付けた。相当機嫌がいいのだろう。俺も気分よく執務室を後にする。



おおっぴらに見せないあの人の独占欲が心地いい。


銀色の束縛で点けた煙草の味は、何故か甘く感じた-------


  End

 

 

 

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オイルライター愛用者は、中身に普通と違った文字が一つでも入ってると気付くもんらしいです。

以前、そう言われた。

そんな訳でロイも、勿論ハボも分かってるという事で。

 

純銀は磨かないと黄ばんじゃうので、ハボはきっと毎日せっせと磨くんでしょうね。愛いヤツよ。

 

  緋月悠奈