「おはよう。」
ご主人様がドアを開ける。ボクは隙間を擦り抜けて中に入った。
ブラックハヤテ号の一日 〜昼編〜
「おはようございます、ホークアイ中尉」
部屋にいた二人がご主人様に「けーれー」してピシッと立っている。
ちょっと緊張してるみたい。二人もご主人様のガンガンガンが恐いのかな?
「おはよう、ブラックハヤテ号♪」
あぅ!!
屈んでボクの頭をなでなでしてくれたのは「フュリーぐんそー」。
最初にボクを拾ってくれた人。ここでのご飯はいつもこの人がくれるんだ。遊んでくれるのもこの人。だから大好き!!
「・・・」
何か言いたそうなのに何も言わないあの人は「ファルマンじゅんい」。
何にも言わないからよく分かんない人だけど、誰もいないと遊んでくれたり、ご飯くれたりするの。実はいい人。
ガチャッ
勢いよくドアが開いて人が入ってきた。
「おはようございます中尉。おぅ、わん公元気か。」
ご主人様に挨拶した後、ボクの頭をガシガシしたのは「ハボックしょーい」だ。
いつも「たばこ」をくわえてて煙たい人。前にボクに煙を吹き掛けてご主人様に怒られてた。それ以来やらないから、この人もご主人様が恐いのかな?
ガチャッ
「おは・・・!!」
バタンッ!!ダダダダダダッ――――
・・・目が合った瞬間逃げられるって、ちょっとショックだよね。
あの人は「ブレタしょーい」。いっつもこう。悲しいなぁ。いつか一緒に遊んで貰えるといいな。
――――「ブレタしょーい」が帰って来ないから、ボクは外に出された。ちょっと淋しいけど大丈夫、ボクは強いんだから!!
「あっ兄さん、ブラックハヤテ号だよ!!」
その辺を走り回ってたら聞き覚えのある声がした。あれは「アルフォンスくん」だ!!
時々しかいないけど、よく遊んでくれるから覚えてるよ。
振り返ると大きな身体が見えた。あれ?いつも一緒の「エドワードくん」がいない・・・あ、いた。「アルフォンスくん」の身体で見えなかったんだ。
二人は兄弟らしいけど何であんなに大きさが違うのかな?兄弟ってだいたい同じ大きさじゃないのかな?変なの。
「じゃ、また後でな。」
ひとしきりボクと遊んだら二人は建物に入って行った。また独りだ。何しようかな・・・
ザァ――――
突然雨が降って来た。しかも土砂降り。
ボクは急いで何かの下に入る。身体を震わして滴を払ったけど、冷たい雨はボクの体温を奪っていく。
雨は嫌い。あの日を思い出すから。寒くて凍えそうで心細くて――――ほら、また思い出す。
今は暖かい寝床があって、厳しいけど優しいご主人様がいるのに、とても恐いんだ。また独りになったみたいで。
「ハヤテ号、ブラックハヤテ号!!」
あっ、ご主人様の声・・・行かなきゃ、呼ばれてる。でも身体に力が入らない・・・
・・・きゅ〜ん
微かに出たのは言葉でも何でもない音で――――ボクの意識はそこで途切れた。
――――あったかい。それに気持ちいい――――
気付くとボクはご主人様の膝で眠っていた。
暖かいタオルに包まれて優しく背中を撫でられると、さっきまでの恐怖は跡形もなく消えていった。
代わりに眠気がやってくる。ボクはまた目を閉じた。
「中尉、書類が出来たが・・・」
「提出してきます。」
ボクはタオルごと、ゆっくりソファーに降ろされ、ご主人様は部屋を出て行った。
「ふ〜、やれやれ。本来私はこういうのは得手ではないのだけれどな・・・」
パチッ..バチバチ
あ・・・「れんせい」の音だ。ボクは少し目を開けた。目の前にはバスケットがあった。
ひょいっ
えっ?
突然ボクの身体が中に浮く。びっくりして身を固めると、すぐに降ろされた――――バスケットの中に。見上げると「たいさ」と目が合った。
「なんだ起こしてしまったか。早く元気になれよ。そうじゃないとお前のご主人様が元気ないからな。」
ボクの鼻先をちょいちょいっとして目を細めて笑う。
おやすみと言いつつバスケットの蓋を閉めた。
ボクは真っ暗になったバスケットの中でタオルに顔を突っ込んだ。
――――あったかい寝床、あったかいご主人様、あったかい人達――――
掻かれた鼻先があったかかった――――
END
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昼編です。
書くの忘れてましたが、裏にロイアイが隠れてます。いや、隠れてないか。
夜はロイアイ度が増しちゃいます。お気をつけて!!(何を?)
「」のひらがなはブラハが耳で聞いて覚えた単語。リザの言葉で覚えたんでしょうね。
名前と階級の区別はついてません。可愛いヤツです。
よろしければ夜編もどうぞ☆
緋月悠奈