帰る場所


「――――で、後はハボック少尉に任せて帰って来たのよ。」

「あははははっ!!リザ最高!!」
恋人は笑いながら腹痛いとベッドを転げ回った。

「笑い過ぎよ、エド。
・・・まぁ、あの大佐の表情、滅多に見られるモノじゃなかったけどね。」

私もつられて笑い出す。


「うぉ!!いいなぁ、俺も見たかった!!」
本気で悔しがる姿にまだ幼さが残っていた。

 

「でも比較的早く帰れる事になってよかったわ。最近遅かったから。」
「その点は二人のマヌケさに感謝だな。忙しいのか?」
「ん。でも貴方程じゃないわ。」
「ははっ。まぁ、な。 今回もダメだったし・・・」
「・・・そう。」

彼を背中から抱きしめる。

 

「俺、帰るって嫌いだったんだ。」

唐突に彼が語り出した。

「元々旅から旅への生活だから”帰る”っていうのはなくていいんだ。

それに、この姿のまま帰るって事は負けてるって事だろ?帰る故郷は確かにまだある。だけどまだ帰りたくはない。

あそこには機械鎧を直しに”行く”んだ。母さんの墓参りに”行く”んだ。
でも最近は帰るのも悪くないと思ったんだ。”ここ”なら帰る意味がある。帰るって表現に意味がある。」

 

ふと振り返り私の胸に顔を埋めた。

その頭にキスをする。

色の濃い赤みがかった金髪から自分と同じシャンプーの香りがした。

 

「私は”待つ”のが嫌いになったわ。やっぱり寂しいもの。」

エドが顔を上げる。困った、悲しそうな顔。

「リ・・・」
言いかけた唇を指で止める。

「でも”出迎える楽しみ”を知ったわ。それこそ寂しい待ってる時間を忘れるくらいにね。」

ニッコリ笑って見つめる。彼も笑った。


 

旅立つ恋人に、帰りを待つ恋人に、願う事はただ一つ。”どうか無事で”。

だから帰ってきた恋人に、出迎えた恋人に、言葉はいらない。

笑顔を送ろう、優しいキスを添えて――――



  End

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ハボロイの「恋敵」→「現金な自分」→エドアイの「だからお願い!!」→「帰る場所」と繋がるカンジです。

 

エドが何歳かが気になるトコロですが・・・17〜18歳のイメージ?

って、まだ戻ってないのか?!それは可哀想です、ごめんなさい。年齢は気にしないで下さい。

 

 

   緋月悠奈