ハボエド好きに30のお題
お題:10.只今遠恋中
夜空を見上げて
窓辺に佇み夜空を見上げる君。降ろした髪が月明かりに浮かび上がる。
『なぁ少尉、月って不思議だと思わねぇ?だって-------』
――――夢を見た。正確には記憶を夢に見た。今は旅に出て側にいない恋人の夢だ。
彼が前にこの部屋の窓辺で言った言葉だったが、続きが思い出せない。未消化に目覚めてしまった。
思い出そうとすると余計思い出せないモノで、俺は朝からモヤモヤとその事ばかり考えていた。
何が不思議だったんだ?俺は何て答えたんだ?
仕事をしてても頭の片隅にひっかかって、ふとした瞬間にその事を思い出す。
月の何が不思議なのか、誰かに聞けば早いのかもしれない。ここには同じ錬金術師や博識、女性もいる。
だけど誰かに聞くのは何となく嫌で、独りで思い悩んでいた。
結局夜になっても解らず仕舞いで、残業があったのだが「仕事に身が入っていない」と、
室内なので有能な上官と晴雨室内関係なく有能な副官に帰されてしまった。
夜道を独り歩くと空にはぽっかりと月が浮かんでいた。
今日の悩みの元凶。お前の何が不思議なんだ?思わず睨めつけるが何も思い出せなかった。
月で不思議と言ったら、どこまでもついてくる様に感じる所とか?小さい頃はそれが恐いと思ったっけ。
が、エドが言ったのは違った筈だ。何かもっと可愛い事だったと思う。こいつ意外にロマンチストだなと思った様な気がする。
...なおさら解らないなぁ、もう。
悩みつつ歩いても埒があかないので真っ直ぐ帰る事にした。
家に辿り着く。鍵を回し、玄関を開け、狭いキッチンを通過する。ワンルームの部屋とキッチンを隔てるドアを開いた。
――――あっ!!
部屋を見た瞬間、その時の光景が鮮明に甦った。
開け放した窓、群青の空、琥珀色の月、そして優しい光を受けて佇むあいつ。一枚の絵の様に感じた――――
そうだ、あいつはこう言ったんだ。
『なぁ少尉、月って不思議だと思わねぇ?だって――――どんなに離れた場所にいても見える月は同じなんだぜ?』
そう、意外にロマンチック。それに対して俺は、
『太陽も同じじゃないか?』
ダメだ!!ロマンのかけらもねぇ。
『...バカだなぁ少尉。太陽じゃ眩しくて見つめてらんないじゃん。』
エドは笑って返してくれたんだっけ。
窓辺に立って空を見上げる。そこには見事な満月。きっとあいつも見てるだろう。遠い空の下で。
この、同じ月を――――
End
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エドには月も似合うと思ったので。
でもこんな事言うエド・・・気持ち悪い・・・
緋月悠奈