ハボエド好きに30のお題
お題:13.色違いの瞳

   青空と太陽


今日も澄み渡る青空に太陽が輝いている。晴天。俺が一番好きな天気。

暖かい日の光りは、気持ちいいのはもちろんだけど何より彼の人を思い出させてくれる。側に居てほしいあの人を――――


ハボック少尉に太陽のイメージがあるのは、その容貌からだろうか。

明るい陽射しを思わせる髪に青空の瞳――――アメストリスに比較的多い取り合わせだが、特別似合うと思うのは個人的感情のせいかもしれない。

とにかく出会った時からそう思っていた。そして、羨ましいとも思っていた。



「少尉って太陽が似合うな。」
「・・・大将。今の現状を評価されても俺は嬉しくないぞ。」
今、彼は土木作業中。軍服の上着とスカート部分を脱ぎ捨て作業に当たっていた。

アンダーの黒いTシャツに彼のしっかりとした筋肉が浮き上がっている。確かにこの状態は非常に太陽が似合う。

ただし余り良い意味では使わないだろう事に彼の反論で気付いた。
「ちがっ!!ごめん、別に他意があった訳じゃなくて、ただ単純に太陽が似合うなって。」
「そうか? あっ、もうちょっとで終わるから待ってろよ?」
彼はそれっきり気にする風でもなく作業を続けた。

俺はトラックの荷台に座りその光景を眺めてる。
俺が彼の働く姿を観察してるのはただ単に偶然が重なっただけの事だった。

軍部に向かう途中たまたま作業中の彼を見付けたので声をかけた。手伝おうとしたら、
「汚れるからやめとけ。それより大佐のトコ行くなら少し待ってろよ。乗っけてってやるから。」
と、トラックを指差した。

俺はぼけっと立っていても邪魔になるので荷台に上がって待つ事にしたのだった。



「なぁ大将。さっき言ってた太陽が似合うって何だ?」
約束通りトラックに乗せてもらい軍部を目指す。

ちなみに数人いた部下は次の場所での作業があるらしく、乗っているのは俺とハボック少尉だけだった。
「いや、単純にイメージなんだけど。何か性格とか髪とか目とか・・・」
「目?」
そう言って突如車を脇に停めた。
「どれどれ?」
少尉はバックミラーに自分の顔を写した。俺も覗き込む。ミラーには青と金の色違いの瞳が映った。
「ほら、瞳が青で髪が金で・・・」
「あぁ、なるほどな。ん?だったら大将だって・・・いや、違うな。」


そう、違う。俺は本来、日の光りを浴びてはいけない人間だ。太陽が似合っていい筈がない。

罪人の証をぶら下げながらも洋服と手袋で覆い隠し、微かな希望に縋り、後ろを見ないように見ないように走っている。

太陽が似合う存在に憧れたり、羨んだり、ましては愛してなどはいけないんだ。

 

だが、解っていても否定されると苦しくなる。ぐっと唇を噛み締めた。

「・・・うん、大将は『太陽が似合う』じゃなくて『太陽そのもの』だな。」
「・・・えっ?」
「金髪碧眼が青空って言いたいんだろ?だったら金髪金眼の大将なんて光そのものじゃないか。

それにエネルギー大放出って感じでやかましい時もあるしな。っと、やかましいは言い過ぎか。

それにあれだ、アルフォンスにとっては本当に『希望の光』ってヤツなんじゃないのか、大将は。」
言葉の意味を理解するのに数秒かかった。

自分自身で否定し続けた事をあっさり反され面食らう。だが固く結ばれた心の紐を解かれた気がした。


「・・・大将?わわっ何で泣いてんだよ!?」
ハボック少尉が慌てている。俺は自分が泣いてる事に気付かず笑った。

いや、解っていたがそれ以上に嬉しくて、泣いてる自分が、慌ててる少尉が可笑しくて笑ってしまった。

こんなに簡単に涙を流せた事に、何気ないたった一言に、救われた気がした。

「あはは・・・ごめん、変だな、俺。」
「・・・ったく。」
笑いながらも泣き続ける俺を少尉は唐突に胸に引き寄せた。
「何だかよう解らんが、ハンカチ持ってないからコレで我慢しろ。」

つまり『顔は見ないから泣くなら命一杯泣いてしまえ』と。

「・・・汗くさ・・・」
「しゃーねーだろ。さっきまで炎天下で土木作業だったんだから。」

反論しても、ぽんぽんと背中を気遣う様に軽く叩いてくれる。零れた涙は黒い優しさに吸い込まれていった。


車窓から見える青空には、当たり前の様に太陽が光輝いていた――――


  End

 

 

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エドの片想いです。

 

眩し過ぎる太陽への憧れ。

罪悪感を抱えた者は眩しい光に目を細めつつその光に憧れるのではないでしょうか。

 

自分の中の光は他人の方がよくわかる。そういうモノです。

 

   緋月悠奈