月城課題:ハボエドとソラリス

 

 

片想い追走曲(カノン)

 

第二.五走曲 助走


「大佐ぁ。デートっていったら・・・」
「花だろう。仕事しろ。」

 

太陽が落ち切る頃。ロイ・マスタング大佐の執務室は殺気立っていた。

いや、正確には殺気立ってるのは大佐一人で、もう一人は殺気立った空気にすら気付かない。

「花っすか!!何だろ、何が似合うかな〜?」

そんな空気そっちのけで煙草をふかしつつ口元を緩ませる部下、ジャン・ハボック少尉。

彼の頭は最近できたばかりの彼女でいっぱいだった。


「大概喜ばれるのはバラだな。それから花束はでかいと邪魔だ。程々にしろよ。それと、仕事しろ。」
「バラッ!!いいっ!!さっすが大佐、伊達に浮名を流してる訳じゃないっすね!!」
「まぁな。

――――じゃなくて仕事しろ!!大体何でお前がここにいるんだ!!」


一人ちまちまとデスクワークを熟していたマスタングが机を叩いた。
「だって俺今日の分は終わったっすもん。」
「ならココにいなくてもいいだろうがっ!!」
「中尉が『終わったなら大佐がサボらない様に監視でもしてなさい』って。」
「中尉が? ・・・そういう事か・・・はぁ・・」


最強の免罪符「中尉のお墨付き」を出されてはマスタングも強くは出られない。リザ・ホークアイ中尉は彼のよき副官だが天敵でもあるのだ。

 

ちなみに「そういう事」とは「デレデレと緩んだ部下が邪魔だったので監視と称して大佐の部屋に追いやりました」という事だ。

どうせサボるなら邪魔者の相手をしろ、と最強の副官は言っているのだ。実際その通りになりつつある。


マスタングは溜息をついた。

どうせこの浮かれ部下は、自分にしたのと同じ様な質問を彼女にもしたのだろう。本人は邪魔者扱いされた事に全く気付いていないが。

かといってこれ以上彼に付き合う程忍耐強い訳でもないマスタングは最終奥義を使う事にした。

「ジャン・ハボック少尉。」

背筋を伸ばし、張りのある声で部下の名を呼ぶ。

呼ばれた当人はあまりに唐突だったので素っ頓狂な声で返事した。
「はい?」


「私が許可する。帰れ!!」

「・・・は?」
「そのままの意味だ。さっさとデートに行け。今から帰れはじっくり花を選ぶ時間が出来るだろう。」
「〜〜っ!!大佐ぁ!!ありがとうございますっ!!」
ハボックはマスタングの言葉に涙を浮かべ感激している。相手の真意を知らずに。


浮かれ過ぎた幸せ者は普段は絶対しないような綺麗な敬礼をして意気揚々と退室した。

 


「ありがとうございます、大佐。」
しばらくして執務室に来たホークアイがいきなり礼を述べた。
「何だ、急に。」
「ハボック少尉の事です。」
「ん?」

「困っていたんですよ。デレデレと緩みっぱなしで。

そのくせ仕事はちゃんとやってるものですから始末に負えないというか・・・・私では帰宅許可は出せませんから、大佐のお力をお借りしました。」

ニッコリ笑いかけるホークアイを見てマスタングは絶句した。どうやら彼女の方が一枚上手だったらしい。


彼女の手の平で華麗に舞った司令官は、机に突っ伏した――――



 ...to be continued?

 

 

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閑話休題。そんなイメージで書きました。

 

結局リザに踊らされてる(?)ロイが書きたかっただけだったり・・・

あ、いや、ちゃんと3話目へ続きますよ?

 

そんな訳で、今度は「彼女」登場です。

 

      緋月悠奈