ハガレンごちゃ混ぜCP好きに40のお題
8、煙草

   苦い熱


「・・・苦いわ。」

甘いキスをした感想は、苦い、だった。

「苦い・・・すか?」
「えぇ。」

クールビューティーな彼女は余韻もなく言い放つ。

「これでも?」
「んっ」

温度の低い鳶色に熱を持たせたくて、返事を待たずその唇を塞いだ。

「んっ・・ふっ・・・ぅん・・」

深く浅く口くうを犯す。舌を絡め取り、吸い上げ、歯裏を辿り、唾液を流し込む。
時折零れ落ちる彼女の苦しそうな息遣いとコクンとなる喉が欲情を誘った。

「ぅんっ・・はっ・・」

逃げられないように腰に手を回し身体を密着させると、彼女はその手を背中に回さず上着の袖をきゅっと掴んだ。

無意識の内に小刻みに震える手が可愛いくて、さらに深く口付ける。

「ふぅ!!」

何か文句を言ってそうだが無視する事にした。ここで止めるなんて、なぁ?

「ん〜!!」

さらに濃厚にしようとした刹那、首に鋭い痛みが走った。

「たっ!!」

思わず唇を離してしまう。首に手をやると袖を掴んでいたはずの手に触れた。

成る程、俺は爪を立てられたのだ。

銃を操る者は爪を伸ばす事はないので刺さる程はないが、

それでも首皮の薄さとキスに夢中で意識がいって無かったのとで、意外な程強いモノとなった。

 

肩で荒い呼吸をする彼女。

俺の首に食い込ませた爪は既に力が抜かれ、俺の手に収まっている。

「ハボック少尉。どういうつもりかしら?」

込めたかった熱とは違う熱を持って睨まれる。銃が出されなかったのは愛ゆえだろうか。

「・・・いや、苦いて言うから・・・」

はぁ


彼女は溜息をついて、ぺしっと握られた手を払いのけた。

「だったら禁煙でもする事ね。それからこんな所でしない事。」

そう言って身を翻し、目的のモノを取りドアノブに手をかける。

こんな所――――ここは狭苦しい資料室。

彼女が入る瞬間、勝手に入り込んだのだ。

 

そして去り際に一言。

「それから、苦いのは嫌いじゃないわ。」

パタンとドアが閉まる。


――――貴方のキスは好きよ――――


「〜〜〜っ!!」

クリティカルヒットだ。

変換する一瞬の間に逃げられてしまったが、さらりと告げられた愛の言葉は、無防備な俺の心臓をわしづかみにした。


 


口許を押さえずるずると腰を落とす。

「・・・それは、狡くね?」


キスが苦いのは煙草味だから。そして煙草は好きじゃないくせにその苦味は嫌いじゃない。
煽るような深いキスも、ココじゃなければ。
密着させた身体に手を回せないくせに、なんて、大胆な。


彼女が出て行ったドアを見つめる。

今、彼女はどんな顔をしているのだろうか。

いつも何事も無かったかのように振る舞う彼女の中に、確かな熱を見た気がする。

その熱は、確かに、俺が点けた。
そして、ソレは、俺にさらなる熱を、上昇させる。身を焦がすほどに――――


 


とりあえずこの部屋を出るか。
今夜彼女をどう誘うかは違う場所で考えよう。


――――彼女の好きじゃなくて嫌いじゃない煙草でも吸いながら。



  End

 

 

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つまりお互いベタ惚れで。

たまには強気なハボでと思ったのに、中尉様はやはり最強でした。

 

煙草・・・関係あるんだかないんだか・・・

 

   緋月悠奈